一歩高みを目指すための学習方法

速読法をしてはいけない人とは

リーディングでは、中学校レベルと高校レベルの基本的な英文法が抑えられていない人にはあまりおすすめしません。速読したところで、英文に対する理解度が低いため何回読んでも頭の中にはいかないからです。そんな方は、英文法の基本的な内容をもう一度おさらいしてインプットを終えるまでは、速読法をしないほうがよいでしょう。
まずはじっくり精読して英文の理解を深める必要があります。繰り返し同じ文章を読み、一語一語意味を調べ、丁寧に読み解くことも大切です。学習素材としてはあまり難しすぎるものを選ばずに7、8割理解できる内容のものを選ぶとよいでしょう。

あわせてたくさんの文章に触れること(多読)も必要です。
リスニングスキルはある一定時間英語を聞かないと英語に耳が慣れないのと同じく、リーディングスキルは一定以上の英文を読まないと理解は進みにくいともいわれています。
基本的な英文をたくさん読み、読書量を蓄積することが必要になります。多読用のテキストとしては十分に理解できるレベルのものを読むとよいでしょう。
(のちほどの<型を覚える、同じ分野の文章を読む>では、多読の種類の分野を絞ることも紹介していますので参考にされてください)

速読のススメ

英語学習において、同じ時間勉強しているのにひとによって結果が大きく異なってくるのはなぜでしょうか。
ひとつの理由に文章を読むスピードが挙げられます。日本語、英語それぞれそうですが、文章を読んで頭なのかで処理する速度が違うと、結果は飛躍的にかわってきます。たとえば、英文を1分間に50ワード読む人と、1分間に200ワード読む人が毎日30分勉強するとどうなるでしょうか。仮に前者をAさん、後者をBさんとします。

Aさんは、30分間で1,500ワード、1ヶ月で45,000ワードの文章を読みます。Bさんは、30分間で6,000ワード、1ヶ月で18,000ワードの文章を読みます。半年たったとしたらそれぞれ、27,000ワード、1,080,000ワードの文章を読むことになります。
インプットのスピードが2倍になれば、学習量は実質2倍に、スピードが4倍になれば学習量は実質4倍に跳ね上がります。さらに学習量が増え、知識が増えれば、さらに理解度は高まり、読む速度も内容の理解も進み学習はさらに加速します。AさんとBさんには4倍以上の差がずっと生まれ続けることになります。

これは日本語を読むスピードでも同じことが言えます。日本語を読む速度が速く、理解度も高い人は、読むのが遅く理解ができにくい人とくらべどんどん新しい知識を吸収していきます。仕事の場面でも、文書処理能力が高いと効率的な成果を出すことにもつながります。
日本語の文章も速く読む習慣をつけるとあとあとの学習や仕事の効率も大きく変わってきます。文章を速く読めるコツをいまのうちに習得しておくのか何年もさきに習得するのかでは学習効果が大きく異なってきますのでこの機会に速読、速く読む習慣を一度試されてみてはいかがでしょうか。
中級編では音読をせずに頭で理解することをお伝えしました。文章を声に出すように頭の中で理解していてはいつまでたっても読むスピードはあがりません。文章を早く読むためのポイントを紹介していきます。

理解度を高めるためのスラッシュリーディング

英文の文章を早く読むひとつの手法としてスラッシュリーディングという方法があります。これは、英文を前から後ろに、左から右に一方通行で読みながら、5文型の文の構造をつかみながら、文の区切りにスラッシュ(/)を入れて区切りごとに文章を理解するという方法です。理解ができない区切りの部分だけ前に戻って確認します。基本的に、一度読んだ文章をもどって繰り返し読むというはせず一回で理解するように読むため、慣れれば英文を読むスピードが飛躍的にあがります。
中級編でも紹介した書籍「ALL IN ONE」(著者:高山 英士、Linkage Club)の著書高山 英士氏によると、スラッシュリーディングの際どこで区切るのは、前置詞句の前と後、カンマ等の前、関係代名詞の前、to 不定詞の前、長い目的語や補語などの前が主だと紹介しています。
(参照:高山英士氏による英語学習のコラム http://www.linkage-club.co.jp/A1OLD/Column/3.html

英語のリーディングが苦手で、読むスピードが遅い方は、文章を何度も何度も繰り返し読む傾向があります。
途中まで読んで理解できないところがあり、また最初に戻って、最後まで読んでまた最初に戻ってと繰り返し読むことがクセになってしまうと、英文を読むスピードはあがりません。戻り読みしてしまう方は、一度スラッシュリーディングを試してみるとよいでしょう。慣れてしまえば、速く読むのはちょっとしたコツだときっとわかるようになるはずです。

インターチェンジ効果

TOEIC などの資格試験では、長文の問題が多数出てきます。試験の時は、精読はできません。関連するキーワードをスキャンニングしながら全体の文章の意図を読み解いていかないと制限時間は足りなくなってしまいます。
文章を早く読むためにまず、視線をはやく移す訓練をしておくと目の移動速度を速くすることができます。人間の目は、動きに慣れやすいといわれています。目は筋肉で視線を動かしており、鍛えれば視野が広がったり、目線の移動スピードがあがってきたり、逆の面では、あまりにも速読をやり過ぎると目の毛細血管が切れて赤く充血することもあります。鍛えれば鍛えるほど動体視力はスピードアップが可能です。

とある速読スクールが以前テレビの番組で紹介されていたことがあります。速読を習っている人は動体視力が発達していくため速いものでも目で見る、捉えることができるようになるとのことで、それを実証するため番組では、野球をやったことがない30代40代の速読の受講者の女性たちを集め、バッティングセンターにいき150キロのスピードのボールが飛んでくるバッターボックスに立たせてみました。野球経験のある番組の男性スタッフはほとんど空振りでしたが、女性受講者たちはバットに軽々あてていました。なぜ、彼女たちが打てたかというと、打席に立つ前に一冊100ページ以上はありそうな書籍を最初から最後まで2、3秒でパラパラとめくりそれを見つめる、という行為を繰り返ししていたからです。高速で動く本のページを見つめていることで、目がその速さに慣れたため、150キロのボールが速く感じなくなったというわけです。

こういった効果のことを心理学では「インターチェンジ効果」といいます。高速道路を走っていて、一般道路に降りたとき、ゆっくり走っていると思っていたら実際よりもスピードが出ていたことはないでしょうか。高速道路で100キロ近いスピードを出していた後に一般道路に出ると、ゆっくり走っているつもりでも法定速度以上だったというようなことが起こるのは、脳が100キロ近いスピードが当たり前の者として慣れてしまっており、急に脳が感じるスピードを落とすことができないからです。

英文速読法

速読はその脳のインターチェンジ効果を利用します。速読をするために目を慣れさせるためには、意味を理解せず、文章の内容を捉えずに目を早く動かすことです。通常は意味を理解しながら文章を読みますが、速読の訓練では、意味を理解せずに文字づらだけをざった流し見ていきます。英文の左から右、一行さがって左から右、次の行の左から右、と素早く視線を移していきます。なんども繰り返し行ってくると目線のスピードがあがってきます。この時点では、目の動きを高速にすることが目的なので理解する必要はありません。

そのスピードに慣れておくと、今度は普段のペースで英文を読もうとしても、素早く読めてしまうようになります。文章を読む際インターチェンジ効果により、思っている以上に脳が文章を理解するようになります。
ただし、このインターチェンジ効果は、高速道路を下りた後しばらくすると元通りのスピード感覚に戻るのと同様、時間が経つと元に戻ります。感覚としては元に戻りますが、目の動きの速さは、習慣として残るので、繰り返し訓練しておけば読むスピードは速くなります。速読を取り入れれば文章が速く読めるようになるだけでなく、文章の理解度もあわせて高まります。

タイムウォッチ測定法

速く読む習慣をつけるために、定期的にいまご自身がどれくらいのスピードで英文を読めるのかをつかんでおく必要があります。そのために、英文を用意して実際に何秒かかったか計ってみて記録しておきます。1分間のタイマーを計り、何ワード読めたか確認します。定期的に行うと読む速度がどれだけ速くなったか確認でき、学習記録にもなります。

効果をさらに高めるためには次の手順で行います。
まず同様のレベルの英文を2つ用意します。片方を1分間通常の速度で読み、何ワード読めたか記録しておきます。その後、目線をはやす移す速読の訓練で理解せずに目線を左から右、次の行へとおろしていく方法を1分します。目を求刑しながらなんどか速読の訓練を行ったあと、今度は、もうひとつの英文を用意し普通の速度で読み込みます。これも何ワード読めたか記録します。2つの記録を見比べてみると多くの人は、文章を読む速度が速くなっているはずです。人により異なりますが、速くなる人によってはたった1時間ほどの訓練で2倍以上の速さで読むこともあります。ゆっくり読もうと思っても読めない体質になる、それがインターチェンジ効果であり速読です。

型を覚える、同じ分野の文章を読む

読む速度を速くするためには、文章を理解する知識が必要です。その知識を習得するためのひとつの方法として、同じ分野の英文を繰り返し読むことがあります。特定の分野や、TOEIC などの試験で使われる英文、小説からニュースまで、同じような内容を読むことで、定番の英文の型が自然と身につくようになります。
学習のコツは、全体的に平均点を挙げることではなくひとつ得意な分野をつくることにあります。得意な分野ができれば自身につながるだけでなく、学習する過程でどのように勉強すればよいかというコツもつかむことができます。自分自身に適したコツが見つかれば、あとはそれをほかの分野にも応用していけばよいわけです。リーディングスキルについても、幅広いテーマの英文を読むのではなく、特定分野に絞って学習することで、特定分野についての理解度を大きく深めることができ英語の型を覚え、周辺の英単語についても詳しくなり英語の力が養えます。

CNNの活用

いくら日本語を読み理解することにはたけていても、文章を書いたり、人に意見を話したりできなければ、実際にはあまり役に立ちません。「リーディング=読む力」だけではなく、ほかの英語スキルも同様にしっかりあげておくことが大切です。話す力=スピーキングスキル、書く能力=ライティングスキル、聞く能力=リスニングスキル、それぞれ学習方法はありますが、すべてがそろって総合点が、社会で使える英語力の実力になります。
リーディングスキルをあげる最大の手法はアウトプットをすることです。

リーディングの学習のアウトプットとして、読んだことをまとめて書き出すこと、要約することを以前ご紹介しました。これはライティングスキルにも役立ちます。実際的に使う英語力を養うためには、聞いた内容を書き起こすという学習方法も有効です。この方法をディクテーション(dictation)といいます。

CNN Student News/Quick Guides & Transcripts
http://edition.cnn.com/US/studentnews/quick.guide/archive/

CNNのニュースサイトには、動画のニュース配信とともに、ナレーターが読む文章の内容がテキストの文字として確認することができます(スクリプトあり)。速読用や精読用だけでなく、ディクテーション用のニュース素材としても利用できます。

これまでリーディング上達法について初級編・中級編・上級編ということでいろいろな角度から、スキルアップの方法をご紹介してきました。どの部分が参考になりましたか?どの内容をやってみようと思いましたか?参考になることがひとつでもあればぜひ実践されてみることをおすすめします。その一歩が大きな飛躍になることもあるかもしれません。

みなさまの英語学習がますます進みますよう応援しています。