多様な資格試験に着目する。

TOEIC を英語学習に利用している方は多いことでしょう。一部の日本企業でもTOEIC スコアが○点以上でないと採用しない、など条件がある会社もあります。ひとつの指標としておおいに利用されるとよいでしょう。ただTOEIC スコアが700 点以上の方でも英語を実際話せないということをよくききます。また実際の業務では使えない、書けない、ということもしばしばあります。これは試験対策として英語を覚えたものの、実際に利用する場面もなく、使えない英語を習得してしまっている人が多いことの証左でしょう。
TOEIC も重要ですがそれだけでなく、ほかの試験を受けてみることで総合的な英語力の向上に役立ちます。
今回の中級編ではいくつかの資格試験を紹介します。

1、日商ビジネス英語検定

輸出入や海外との取引に関わる仕事編

ビジネス英語を習得するにあたって、特に、輸出入分野や海外との取引に関わる仕事にこれからつきたい方にお勧めなのは、日本商工会議所が主宰する日商ビジネス英語検定です。
日商ビジネス英語検定の3 級レベルなら大学生など学生でも勉強すれば十分合格が可能です。英語で行うビジネス文書の書き方の基本や、輸出入や海外取引に必要となる知識が問われます。
少し興味を持たれた方はサンプル問題にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。

日商ビジネス英語検定試験3級サンプル問題
https://www.cin.or.jp/ssl/gyomu/eigo/eigo-sample/sample-3q.html
この試験の出題範囲は次の通りです。かなり幅広い分野が網羅されています。

日商ビジネス英語検定3級の出題範囲を見ると、ビジネスの場面で必要となる生きた英語が網羅されていることがわかるでしょう。ビジネスレター、Eメール、招待状の基本から、海外取引のレターのサンプルや業務の流れなど多岐にわたる分野が網羅されています。ただ3級レベルだと広く浅い知識が中心で学生やこれから海外取引に関わる方が対象であり、実際の業務で使うには2級レベルの知識が必要になってきます。

2、観光検定

観光英検は旅行や観光に関する英語のレベルを問われる英語検定試験です。
出題されるテーマは空港やホテル、観光の場面やショッピングの場面など実際の場面を想定したものになっています。筆記とリスニング試験があります。
海外旅行を楽しみたい、というレベルの方はもちろん、観光業界の方で英語知識を習得したい方にも参考になります。
TOEIC やその他の勉強のあいまに息抜き程度で勉強してみるのもよいでしょう。
1 級レベルになると通訳やガイドとして活躍できるレベルということになります。旅行関係に興味がある方は一度受けて見られてもよいかもしれません。

観光英検3級:

約3,000 語の語彙力、基本的な文法・構文(高等学校中等学年程度の学習内容)の理解度をみる。
(1)海外グループ旅行の時、少数の同僚と一緒に英語を使って行動することが出来る。
(2)国内で外国人に道案内やパンフレット類を英語で説明出来る。

観光英検2級:

(1)海外で個人旅行をする時、個人で旅程を組み、乗り物やホテルの予約、また単独で観光や買物等を英語で対処することが出来る。
(2)国内で外国人に観光地や名所旧跡等を英語で紹介出来る。

観光英検1級:

約8,000 語の語彙力、正確な文法・構文(専修学校修了以上の学習内容を取得している、
または、最低2~3 年以上の業務経験がある)の理解度をみる。
(1)海外で日本人客を接遇し、英語で添乗業務が出来る。
(2)国内で外国人に観光地や名所旧跡等を英語で通訳ガイドが出来る。
(3)国内のホテルや他の場所で外国人に英語で充分な接遇が出来る。
(4)海外における風俗習慣や国際儀礼等の異文化を英語を介して理解、かつ紹介出来る。

3、工業検定

いわゆる理工系の仕事、エンジニアや技術者、開発者などの方であれば工業検定もおすすめの検定のひとつです。こちらは、読み書きが主体で、和訳や英訳も試験の問題に含まれています。特に2級以上では技術用語を知らないと対応できないものも多いのですでに働いている方が対象で、3級、4級は学生でも十分合格可能なレベルの内容です。本検定ではリスニング能力は問われません。この工業試験でもそうですが、資格や検定試験にはそれぞれの特長があります。リスニングがないものや、特定分野にこだわったものなど、それぞれの特長を踏まえご自身に適した試験を選びましょう。あくまでこれだけひとつ受けていればよいというものでもありません。幅広いビジネス英語を習得するための一環として受けていかれるとよいでしょう。

工業英検1級

工業英語の専門家としての実務能力を有する者 (5 月・11 月に実施)
一次試験(筆記)英文和訳/和文英訳/修辞
二次試験(面接)筆記試験合格者のみリスニングテスト

工業英検2級

実務経験者を標準とし、工業英語全般の知識を有する者 (5 月・11 月に実施)
英文和訳/和文英訳/修辞(筆記試験のみ・全問記述式)

工業英検3級

大学専門課程、工業高等専門学校上級学年、専修・専門・各種学校在学程度の
工業英語の応用知識を有する者
英文和訳/和文英訳(短文)/適語補充/単語問題

工業英検4級

工業高校、工業高等専門学校程度の工業英語の基礎知識を有する者
英文和訳(短文)/適語補充/単語問題(筆記試験のみ・全問マークシート方式)

4、TEP TEST (早稲田大学―ミシガン大学テクニカルライティング検定試験)

この検定試験は、自分の考えや情報をしっかり発信できることを目的に、英文コミュニケーション能力を計るものとして行われています。早稲田大学とミシガン大学などが強調してつくられたもので、問題はすべて記述式という特徴があります。この試験の勉強をすることで海外とのビジネスで必要になるレターやFAX、Eメールなどの文章や、提案書や契約書を作成し運用する能力を培うことが可能です。

1級

各種英文ドキュメントを作成する上で、守るべき実用的で、専門的な英語の知識を問う。
修辞法にのっとったパラグラフの展開法、英文書構成法などを主に評価。外部に出す英文書の最終チェッカーとしての仕事ができる。自ら作成または外国人が作成した文書も校正できる。

2級

各種英文ドキュメントに共通する、英語の基礎能力やパラグラフの基本構成などを問う。「正確性」、「明快性」、「簡潔性」、「客観性」、「効果性」を主に評価。外部に出す英文書の作成能力を有する(ただし、定型文以外の文書は外国人または1 級取得者のチェックが必要)。

3級

実社会で通用する英語の橋渡しとなる実務英語の基礎能力を問う。英文の基本構成や実用面の文法、語彙力を主に評価。 社内で使用する、英文書の作成や英日の翻訳を担当できる。社外へ出す文書の作成には、もう少し研修が必要である。

4級

実社会で使う英語の基礎能力を問う。英文の基本構成、基礎専門用語、数や単位などの基礎を主に評価。社会で使う英語の基礎能力と適性を備えているが、実務英文書の作成には更なる研修が必要である

5、その他の検定

TOPEC テスト

I T とエンジニアリング分野の英語力を計る試験として、TOPEC IT とTOPECEngineering 試験があります。
TOPEC IT はIT分野における英語能力について、例えばコンピュータの基本システムやハードウェアの基本、ソフトウェアの基本的アルゴリズムやデータベース、通信・ネットワークの基本的知識などを対象としています。
一般的な英語スキルだけでなく、技術英語として専門的知識や内容を把握する能力も問われる試験です。問題の題材も、論文やマニュアル・解説書など実務でも使われるものを中心に試験が構成されています。成績はLEVEL1~5までの全体評価と、各分野別にA~Eの5段階に評価されます。
TOPEC Engineering はエンジニア分野での英語能力が問われる試験です。エンジニアリングとひとくくりにしても分野は幅広いため、本試験では一般技術者として持っておく必要がある基本的な工学の知識や共通知識が出題されます。数学と自然科学(物理学、生物学、地学など)の基本的知識をベースに、英語でコミュニケーションがとれるかどうかをリスニング、文法、リーディング、ライティングの4つの観点から出題されます。こちらも先ほどと同じく、成績はLEVEL1~5までの全体評価と、各分野別にA~Eの5段階に評価されます。

医療・福祉英語検定

医療や福祉関係の仕事に現在ついている方や、これから就職したい学生の方におすすめの検定試験が医療・福祉英語検定です。福祉や介護関係の用語が主体で出題されます。リスニング、文法・語彙表現、専門語彙、読解力の4つが問われる試験でそれぞれ医療や福祉に関係する内容(たとえばリスニングの問題の絵や写真が医療現場のものであるなど)で問題が問われます。

医療・福祉英語検定協会
http://www.fukushi-eigo.org/contents/index.html

以上今回中級編では、ビジネスに直接活きやすい資格試験について紹介してきました。資格試験はあくまで試験です。試験のスコアを取ることが目的ではありません。とったあとにご自身がどうなりたいのか、どんな自分になり、どんな活躍がしたいのか、夢をかなえたいのか、そういったことを明確に思い描き、そのうえで必要となる試験を受けて見られるとよいでしょう。
またTOEIC 試験やほかの英語学習にマンネリ化してしまって英語の勉強が手につかない、そんな方はこれまで受験経験のない資格試験を受けてみるのもひとつの手でしょう。新しい刺激が得られるので、英語を学びなおすきっかけにもなることだと思います。次回、上級編では自分自身が情報を発信して、ビジネス英語を実際に使う場面をつくる方法をご紹介していきます。